ここでは、伝えるという目的に重きを置き、話し方の点を注目した。
しかし、会話をする場合は、話す、聞く、という聴覚だけでなく、
相手の身振り手振り、表情などによる視覚的なものも伴っている。
会話の話し手も聞き手も、無表情ではないし、じっとしている訳ではない。
電話での会話では、無論相手の視覚的情報は得られないが、
語気を強めたり、話と話の間を考えて話したりするだろう。
これは、相手の想像力に助力を与えるもので、
単に話す、聞く、という行為が会話ではないということを示している。
少々大仰に表現すれば、会話とは、体全体によるコミュニケーションである。
会話の目的は、ただ伝えるというのではなく、相手との"共有"である。
その共有には、様々な意味がある。
時間の共有であり、話題の共有であり、イメージの共有であったりする。
会話の中では、その共有を確かめ合うような場面に必ず出会うはずだ。
お互いのイメージが合致した時は、お互いに笑い合えたり、驚嘆しあったりする。
そういう瞬間を導くには、やはり表情など、感情表現が伴っていた方が良い。
試しに、知人との会話で、相手の話に無表情で受け答えしてみると良い。
相手は、おそらく、しばらく話すことをしても、続けられなくなるだろう。
もちろん、後で話し手には、こういう実験だったことを伝え、詫びなければいけないが。
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